理科実験　　　　　電気パン　　　　　

目的
　　電気エネルギーが熱エネルギーに変換されて仕事をすることを実習しよう。
　　家庭で使用される電流や電圧と電力の関係を理解しよう。
　　結果をグラフ化して表示することを実習しよう。


実験前の解説

オームの法則（中学での学習項目）に間連して解説
　１．オームの法則を記せ

　　　　電流（アンペア）＝電圧（ボルト）／抵抗（オーム）　　　　　I　=E/R　

　オームの法則から分かることは？抵抗が大きくなるにつれ,流れる電流の大きさ（アンペア）は大きくなるか、それとも小さくなるか？　　　　　　　小さくなる
　本日利用する交流電源の電圧は100Ｖで一定である
　電気エネルギーが熱エネルギーに変換することを利用してパンを焼く

　２．電力とエネルギー
　　２の１．電流と電圧から電力量を求める式は？

　　　　電力量（ワット）＝　電流（アンペア）×　電圧（ボルト）　　　　　　

　　２の２．電流と電圧からエネルギー量（ｼﾞｭｰﾙ単位）で求める式は？

　　　　エネルギー量（ジュール）＝　電力量（ワット）×　時間（秒）　

練習問題�@上記オームの法則から500Ｗの電子レンジと200Ｗの冷蔵庫をある家庭で同時に使用したときに, 流れる電流は何Ａか（家庭に来ている交流電源の電圧を100Ｖとして答えよ）。

　　　　答え＝　５００＋２００　　／１００　＝　７A　

実験準備
　　用具 　牛乳などの紙パック（１�gまたは500ml）, ステンレス板,電線（プラグとクリップ付）, 定規, ハサミ, ボウル
　　材料　ホットケーキミックス

実験方法

(手順を守って下さい。感電したり, ショートすると危険です！）
1)パック容器の高さを底から7cmにし, 上の余分は切り落とす。
2)容器の両端にステンレス板をセットし, 電気コードのクリップでおさえるが, このときプラグを絶対に差し込んではならない（厳守！）。
3)電線の回路に交流電流計を接続します。
4)パン生地を容器の３分の１まで入れる。
5)プラグをコンセントに差し込み, 通電するが, このとき, 電流計を見て電流の値を１分毎に読み取り（0分から読み取ること）、表に記録しておくこと。
　0分とはプラグを差し込んだ瞬間のこと。
6)電流が流れなくなったら, 電流の測定を止め、必ずプラグをコンセントから抜く。
7)焼けたパンを取り出す。味を見る。
8)２回目のためにステンレス板を洗う。
9)もう一度2)から始める。油断しないこと。感電すると危険！
10)片づけを行う。
11)電流量の変化のデータをもとにグラフを書き、パンを焼くのに使用された電力量を計算する。

パン生地の作り方
　ホットケーキミックス100gと水120gを軽くまぜて作る。好みでココアパウダーを混ぜたり、ほしブドウ（レーズン）などを入れてもよい。ただしレーズンは最初から入れると下に沈んでしまう。

電流量の記録

１）経過時間ごとに電流を記録する．その記録をもとにグラフを描く（電流がほとんど流れなくなったら終了です）。

記録表

（パン生地の量によって出来上がるまでの時間が変化します）

グラフ　（用紙は省略した．縦軸はアンペア，横軸は分刻みで棒グラフで作成する）

2)パンを焼くのに必要とした電力量とエネルギー量を計算してみよう．

手順�@１分きざみで記録した電流量をすべて合計します

�A解説２の１から合計した電流量に電圧をかけて総電力量を算出します．

�B解説２の２から総電力量に総時間（秒）をかけて総エネルギー量をジュール単位で算出します．

参考（電気炊飯器を使用する別の方法）

�@ホットケーキミックス生地を作り、炊飯器に入れてスイッチを押す。
�Aスイッチが切れた後で２０分ほど保温すれば出来上がり。
（保温時間は炊飯器の機種によってかなり異なる。
　ふたを開けてまだ生の状態の場合はもう一度スイッチを押したり，保温したりして様子を見る。ケーキに串や箸を刺してみて何もついてこなければ出来上がり。）
�B釜にフタをおするようにお皿をあてがい、逆さにして出す。

　チョコレート味にする場合の分量はホットケーキミックス200g、牛乳150ccに対して、ココア大さじ2杯程度が目安。　　（出典「たのしい授業」No.197）

感想を記録して下さい．

　参考文献　　　　滝川洋二（編）『面白い物理実験』　　　　　　　　　　ＢＡＣＫ　TO　MENU　

　じゅうぶん注意していても、袖口がコードに触れてショートしてしまったりする。ショートするとブレーカーが落ちて、電気が遮断される。